親友が一番憎い

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(な、なんで、こんなことに……。 どうして私が……) 朋子はもう虫の息で、その場からピクリとも動けなかった。 そして自分がこの場で死んでしまうのかと思ったとき、朋子の頭の中に剛志の顔が思い浮かんで、消えていった。 「私ね、決めたの。 裏切り者は徹底的に罰しなくちゃって。 絶対にただでは殺さないって」 美澄はそう言うと、うつ伏せに倒れた朋子に馬乗りになって、朋子の背中を何度も何度も突き刺した。 そして朋子の背中にナイフを突き刺す度に、朋子の背中から飛び散った血が美澄の顔にかかったが、美澄はそんなことにも気づかないで、一心不乱にもう死んでいる朋子を刺し続けた。 (裏切り者、裏切り者、裏切り者、裏切り者……。 ずっと友達だって約束したのに! いつも一緒にいようねって約束したのに!) 美澄は朋子の死体を傷つけ、朋子の顔を切り刻んだ。 そして美澄は原型を残していない朋子の血まみれでぐちゃぐちゃな顔を見て、満足そうにニヤリと笑った。 ついに自分は罰してやったのだ。 自分を裏切り、恋人を奪った親友を。 美澄はしばらくボロボロになった朋子の顔を見つめ、ようやく冷静さを取り戻したとき、達成感と喪失感の入り交じった感情の中でゆっくりと立ち上がった。 どうして自分が異常なまでに朋子を憎んだのか、美澄は自分でもよくわからなかった。 どん底まで落ちてしまった自分のやり場のない怒りと悲しみを、かつての親友にぶつけただけかもしれなかった。 でも、自分にはこんな生き方しかできなかった。 輝きを失った惨めな自分は、キラキラと輝いている友達をどん底までおとしめたいと、真剣に思っていたのだ。
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