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「この世界は私の想像でできている。さぁ!私の命令に従えたまえ!」
小室君またあんなこと言っているよ。
クラスの女子が言った。
二日前に見た超能力を持った少年が世界を征服する中二病映画にはまってからずっとあんなキャラでいるよ。あーー寒い寒い。
もう一人のクラスの女子が言った。
小室。そうこの思春期真っ最中の少年は自分が興味を持ってしまったものに執着心が強くすぐに影響されてしまう。
影響されてしまう人はこの世にたくさんいるかもしれないが、小室とは格が違う。
彼は「プリズンブレイク」を見た後に学校の黒板にドリルを使って穴を開けたり。
「クレヨンしんちゃん」を見ては、半ケツの状態で踊りを披露すること、同学年の男子生徒にいきなりかんちょうをくらわすことなど彼は非常に影響されやすい人物だ。
しかも、飽きやすい。。
クラスの女子からは冷たい目で見られるが、男子からは意外と人気なキャラクターで親しまれている。
「小室!次はどんなキャラになったんだ?(笑)」
「前回みたいな家政婦キャラやってよ、あれ俺好きなんだよね(笑)
夫の不倫現場目撃して慌てるやつ、ねーあれやってよ。」
今日も男子からモノマネの要求をされている。男子っていつも心は幼稚園児のままだ。本当にくだらなくて精神年齢が低いものだ。もう中学生なんだから少しは大人になりなさいよ。てか、家政婦のドラマ見てるとか昼ドラか!渋!
陽気な男子を冷たい目で見てた女子はこう思った。
「ふふ、そんなつまらないものは捨てたのだよ。そんなことよりわたくしは喉が渇きそうだ
おい、お前!この百円玉で私にジュースを買え!!」
「いやだよ」
―即答!!-
クラス全員が思った。
「なに?私の言うことが聞けんのか??ならよろしい。3秒だけ待ってやる。
この「小室アイズ」が光る。そうなると、、どうなると思う?お前は私の命令に絶対服従するようになるぞ、どんな命令もだ。さぁ、行くぞ!」
小室はコウモリの形をした眼帯を見せ、両手を逆ハートにして祈る。
3、2、、1.。!
キンコンカンコーン
朝の集会のチャイムが鳴った。
目の前で見ていた男の子から無言で肩をポンと叩かれた
彼なりの「ドンマイ」という意味なのだろうか。
小室は数秒ほど固まったままでいた。
何にもない感じで自分の席に座り授業を受けた。
小室は勉強ができない、っていうこともなくむしろ頭がいいほうである。
テストでは平均よりもいいほうで小テストはいつも満点である。
彼なりに将来のためには勉強だけはしているらしく将来の夢は安定した生活を送れる人になるっとのこと。
意外と努力家なのである。
授業が終わり、放課後になる。
退屈な授業を終えた生徒たちは真っ先に帰る者と部活動の準備をしている者と分かれていた。小室が通っている学校は全校生徒の70%が部活動に通っている。
部活動が盛んな学校である。
そんな大半の生徒が部活動に参加している中で小室は帰宅部だった。
週一回のペースで活動している部活動もあるなか(こういうのは部活動ではなく同好会とでもいいのかもしれない)小室は部活動には入っていない。
中学生にもなったんだし貴重な三年間は部活動を通じて友達と過ごすことはとてもいいことだと思うの。そんな貴重な三年間を捨てて彼は部活動に入らず家で怠惰な生活を送っている。
そんな彼だが、、
ああ、今日も騒がしい。部活動の連中が小室を囲んで何か騒いでいた。
しかもかなりの人数。
「小室君!君の身長はバレー部の試合で役に立つ!どうだ?一度うちの部活動に体験していかないか?」
「小室君!さっき体育の授業の後、顧問の坂本先生が小室君はうちのメンバーよりもシュートフォームがきれいだし、何より点も入っている。と言って褒めてたよ、君のような逸材を待っていた。どうだ?バスケ部に入らないか?」
「小室君!あなたが美術の宿題で飾った絵がとてもきれいだってうちの後輩が絶賛していたわ!週一日だけでもいいから是非美術部に!」
その外にもサッカー部、囲碁将棋部、ソフトテニス部、野球部、、、
沢山の部活動から勧誘が来ていた。
小室は運動もできる。
体育の成績は常に上位で体力テストも学年では五本指に入るぐらい運動ができるのだ。
こんなに恵まれている運動神経なのに部活動に入らないとはもったいない人間だ。
何とか勧誘の大群に逃れることができた小室は走りつかれたのか体育館裏の横に長いベンチに座って休んでいた。
ワイシャツに染み付いた小室の汗が灼熱の太陽の陽ざしに照らされて輝いて見えた。
そして少しガタイがいい体をしているわけであるのかワイシャツがピチピチだ。
サイズを間違えているのだろう。
なんて可愛らしい!小室君はおっちょこちょいんだから。
あ、
自己紹介遅れました。私小室君のストーカーです。
こんな感じで毎日毎日観察しているのです。今日は何しているのかな。今日の彼の表情とかそんなことを観察するのが楽しいです。
一か月前からこの観察をしているのですが今日と同じように友達をとはしゃいでは部活動の勧誘に誘われて、、
いつもと同じ、とくに何も問題がないので良かったです。
さぁ、今日も観察が終わったし連絡しないと、、
その時
「小室君!」
小室がビクッと体を少し跳ねたように驚いた。
何が起きようとしているんだ、私は下達を飲みながらじっと見守っていた。
「小室君、ごめんびっくりさせちゃって、あの、これ受け取ってほしいの」
女は手紙を渡した。ハートマークのシールを張っていたのでおそらく
ら、ラブレターなのではないか!?
こんなことは一度もなかった。小室は運動神経が高くて面白い、人気があるのに容姿はそこまで高くはない。むしろ一般の人よりもブ、、おっと、劣っているとでもいうか。
そんな彼にモテ期が到来したのか、世の中顔がすべてではないということが分かった。
「返事は三日後、今日と同じここに集合ね待っているから。あ、放課後、放課後だよ。」
女は動揺している、少し震えている手と声で分かった。頑張って告白したんだろう。
あー、青春っていいな。私もこんな高校生活が送りたい。毎日毎日同じ人の観察をしてまるで作業じゃん。
あー。私も告白とかしてみたいよーー。青春万歳!万歳!
「じゃー、待っているから」
そう言って女は駆け足で去っていた。
あの女は男子から人気のある加藤ちゃんだ。
顔もかわいいし、スタイルもいい、おまけに成績も優秀で完璧な女だ。
そんな完璧の女に告白されてしまった。小室。これはOKする以外に答えはないだろう。
これは想定外だ。
私はポケットから携帯電話を取り出し電話をした。
―
三日後
小室はいつも通り学校に通う。
そしていつもと同じように男子からネタを要求されネタをやる
クラス内は男子の笑い声で五月蠅かった。
授業が終わり、小室はカバンを持って家に帰ろうとした
その時、。
三日前に小室の前で告白した加藤さんが教室に来た。
「小室君ちょっといいかな?」
学校のマドンナ的存在である加藤さんに特に容姿もたいしたことがない小室が呼ばれた
そんな中、クラスのみんなは口を開けて唖然とし、ただ小室のことを見ることしかできなかった。
「おい、小室。学校のマドンナの加藤ちゃんが呼んでいるぞ」
「どういう手を使ったんだ、うわー、いいな。うらやましい」
「ちょっと男子、今いいところなんだから邪魔しないでよ
小室君も早く行った、行った」
女子がフォローに入りようやく加藤ちゃんと体育館裏に行くことができた。
「小室の奴も彼女ができるのかーー、いいな。加藤ちゃんと付き合えるなんてくそうらやましいわ」
男子がワイワイしている中、クラスのオカルト好きである伊藤さんが急に席を立ちあがってみんなに向かってこう言った。
「みなさん、小室君の表情を見ましたか?学校内のマドンナ的存在である加藤ちゃんに呼ばれても頬を赤らめなかった。
まるで「ロボット」みたいだった。私は分かる。加藤ちゃんはフラれるのだ。間違いない!」
念のためなのでこいつの紹介もしておこう。
彼女は伊藤。オカルト研究部に所属しているかなりのオカルト好きだ。
彼女の特技は人の表情をみてその人がどんな気持ちを抱いているか当てれるらしいがクラスのみんなはそんなエスパーみたいなことができるはずないと彼女のことを変な人で見ている。
小室と同じくミステリアスなキャラクターだ。
「伊藤がまた呪文唱えているよ。みんな帰ろうぜ。」
決してクラスのみんなは伊藤のことをいじめているのではない。
伊藤のキャラが小室みたいにノリのいいキャラではなく次元が遠いのである。
次元が遠すぎて誰も伊藤には触れることができなし、話しかけることもできない。
今日も彼女は一人、教室内でオカルトごっこをするのであった。
場面は変わり、体育館裏。加藤と小室がなにやら話していた。
「急に呼び出してごめん、三日前の返事聞きたくて、、」
加藤はもじもじしながら小室から帰ってくる言葉を待っていた。
額には汗が流れていて手足はぶるぶる震えている。三日前よりも緊張している状態だ
そんな緊張しているマドンナが目の前にいる中、小室は平然とした顔で立っていた。
まるでロボットのように。
「三日前?何のこと?」
小室は首を傾げた。
今の状況が分からないまま唖然としている加藤。
「嘘でしょ、覚えてない?三日前ここで手紙渡したの。
私小室君のことが好きなの!だから手紙渡したの本当に本当に気持ちを込めて書いたの!
今も小室君の目の前にいるだけで吐きそうなほど緊張しているの!だけど、頑張って
頑張って今日告白したの!、ごめん、しつこくて好きなの、、」
加藤はしゅんとした顔で地面を見つめた。目からは少し涙が零れ落ちそうだ。
そんな青春ドラマのような告白シーンを私(ストーカー)は今日も観察していた。
「いやー、青春だね。だけどね。加藤ちゃんそんな気持ちを込めても通用しないよ
小室には。」
泣く様子が収まらない。加藤は幼稚園児のように膝を落としてしゃがんで泣いている。
小室は優しく背中をなでた。優しく優しくなでた。
加藤はなんだか懐かしい思いをした。その手は暖かく心をぎっとつかむような優しい手触りだった。
加藤は涙が余計に止まらなくなった。
昔のことを思い出して泣いて泣いて泣きまくった。夜泣きの赤ん坊のように
声を出してワーワー泣いたのだ。
彼女が泣き止やむまで小室は頭を撫でて加藤のそばにいた。
加藤は告白の返事についてまた質問した。
「あ、ごめん。何だか昔のことを思い出して泣いちゃった。で、もう一度言うけど。
私と付き合ってくれますか。」
加藤は手を差し伸べた。
心臓の鼓動が時計の秒針のようにと
とくん、とくん。と鳴り響いている
心が落ちるいてるようだ表情がさっきよりも清々しい。なんだか成功する雰囲気ではあるけど私は知っている。
絶対に告白は失敗に終わると。
小室は黙ったままだった。
そして少し困った表情をした後に
「ごめん、君とは付き合えない。なんか恋というもの分からないんだ人はどうして愛し合えるのか、好きになるってどういう感情なのか分からない。
君はとても可愛らしい顔をしていると思う。だけど恋人同士でいることになっても好きという感情が生まれないかもしれない。
いや、生まれない。だから今回の告白の件について答えはNOだ。ごめん。」
そう言って小室は静かに歩き去っていた。
加藤はそのまま固まったひたすら泣いた。
今度は声もださずに泣いた。彼女にとって初めての告白だった。この三日間彼女はひたすら小室のことを考えていた。
どのように誘うか、どのタイミングで告白するべきか。化粧はしたほうがいいのか、
香水はつけたほうがいいのか、など考えたことは他にもある。
それほど彼女は本気で小室に告白する気持ちを抱いていた。
私はヒロインが告白をしてフラれる、恋愛アニメではあまり見ないシーンを観察し
青春をしたいと思いながら←このくだり何回目だ
「ふぅ。。」
と緊張から安心に戻る息を軽く吐いた。
私はポケットから携帯電話を取り出し、電話をかける。
さほど緊張していたか携帯電をつかんでいる手がぶるぶる震えている。
「あ、社長。何とか女の子振ることができましたよ。
えー、緊張しましたわ。女の子あまりにも可愛いからロボットの小室もいきなり飛び込んで襲ってしまうのではないかと思いました(笑)。
人間と機械が恋なんてしたら私たちの会社が終わりますから。
え、あ、小室明日メンテナンスありますか。
了解しました。」
小室はロボットだった。人間そっくりのロボットだった。
そして、加藤ちゃんが告白した後に感情を改変させられ恋ができない機械にさせられた。
―この町は機械と人間が性的関係を持つことはできない。
機械は人間の奴隷であるため、若いころから人間とともに関わっていくことで人間のことを理解するようになる。
だから、小室は学校に行かせられた。
しかし、恋をすることができない。
人間と機械が恋をするというモラルに反している行為はこの町は嫌いなのだ。―
あー、なんて町なんだろうか。
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