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窓にぽつ…ぽつ…と当たり始めた水音に顔を上げれば、時計の針はとっくに深夜を超えていた。
オープンキッチンのカウンターにグラスを置いて、誰も座っていない革張りのソファーに目をやる。ソファーを照らす間接照明のオレンジ色は本来暖かみと安心感を与えるはずだが、物足りなさを感じるのは普段座っている人間が今はいないからなのか。
ディランは正面の大きなガラス窓に増えていく水滴をぼんやりと眺めながら、朝から姿の見えない恋人のことを想った。レヴィはたまに朝帰りをすることがある為帰ってこないことに慣れてはいるが、そういう時は大抵カマロで遠出している。
だが今回はそういう訳でもないらしい。
昼間に地下の車庫を確認した時には車が置いてあった。ディランはそれを見てレヴィは近場で用を済ませているのだろうと判断したのだが、結局丸一日レヴィは姿を現さなかった。
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