5.

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5. 「大丈夫か?」 「血が出ているなぁ…」 俺はこの男を信用して良いのであろうか? 「あの…どうして俺を…」 「あ…またこの異世界に入り込んだかと…」 「え、異世界?」 俺は何がなんだか分からない? 「お前はネットの《ようこそ!異世界へ》から入って来た…」 「俺もそうだから…」 「もうどのぐらい過ぎたか…?」 「この異世界には時間が存在しない?」 「あ、こんな話しをしてると「闘鬼」の餌になっちまう…」 「お前、名前は…」 「…「ミクル」…」 「俺の名は「ジョージ」だ宜しくな…」 「この異世界で生きて行くためには…」 「…「闘鬼」の餌にならない事だ…」 「さあ、少し安全な場所に移動だ…」 「ジョージ」は両親のどちらかが他国の人なのか? はっきりハーフだと分かるイケメンだ… 身長は180ぐらいあり長身で上半身はかなり鍛えられ… 服の上からでも逆三角形である事がわかった。 俺達は歩きながら会話していた。 「…「ミクル」お前良く「闘鬼」と闘って生き残ったなあ…」 「俺はあのまま喰われてしまうと…」 俺は勝手に喋る「ジョージ」の話しを聞いていた… 「…「ジョージ」詳しい事を教えてほしい…」 「ちょっと待て…」 「もうすぐ、着く…」 俺と「ジョージ」は暗闇の中、街並みである廃墟に辿り着いた。 「ここだ…」 「入る前に…」 「…「ミクル」念じるんだ…」 「え、念じる?」 「そうだ、心を「無」にし…」 「邪念を心から追い出すんだ…」 「そして…」 「…「色即是空」と唱えるのだ…」 「…「ジョージ」どうしてだ?」 「説明している暇は無い…」 「それが出来ないと、ここに入る事が出来ない…」 「…「ミクル」俺は先に入っている…」 すると「ジョージ」は穏やかな顔して眼を瞑り… 「色即是空」と唱え… 扉が開き部屋に入っていた… その後、扉はあり得ない速さで閉まったのであった。 「なんだこれは…?」 独り言を呟いた。 俺も「ジョージ」に続き、部屋に入ろうとしたが精神を集中する事が出来ない? たかだか心を「無」にして邪念を追い出す事だが… 眼を瞑ると脳裏に… 俺を襲った「闘鬼」が現れ… さっき迄の残像が心を支配していた。 すると暗闇を薄っすら照らす月明かりのような光… 俺が入ろうとする廃墟横の路地に長い影が… 『ヤバぞ…』 俺は精神を集中する事が出来ない… まだ脳裏に「闘鬼」が現れ俺に襲いかかる… 横路地の影がさらに大きくなっていた… 『どうすればいいのだ…』 心の中呟くと… 無意識に「般若心経」を唱えた… 「仏説摩訶般若波羅蜜多心経…」 「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空…」 そして「色即是空」と唱えると扉が開いた… 俺は何気無く背後を見ると… そこには口を開けた「闘鬼」が斧を振りかぶっり… 佇んでいた。 俺は間一髪… 部屋に入る事が出来たのだった。
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