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5 櫻子は3人目に会った男に犯され、自己嫌悪に陥る
そんな事があってから1週間後に、櫻子は黒岩と会った。ロミオとの事に気を良くしていた彼女は、黒岩にも同じ事を試してみようかと考えていた。何回か会って信頼関係もできたし、危険な人物ではないと判断していた。黒岩はいつものように会って話をして帰るつもりでいたが、櫻子から誘いがあった。
「変な事を言いますけど、私と実習をしてみませんか?」
「えっ?実習とは、どういう事?」と彼はけげんそうに訊いてきた。
「私と二人切りになってみて、反応するかどうか試してみませんか?」
黒岩は最初何の事か分からなかったようだが、すぐに得心した。
「ならば、僕の部屋でくつろぎませんか?嫌なら無理は言いませんが。」
櫻子は迷ったが、男性の部屋にも勉強のために行ってみたいと思い、彼の後を付いてタクシーに乗った。30分ぐらいで彼のマンションに着いて、エレベーターで5階に上がった。彼は部屋のドアを開けて先に入るように促し、櫻子を後ろからいきなり突き飛ばした。櫻子は何が起こったのか理解できず、廊下にうずくまっていると、彼は後ろ手にガムテープで縛り口もふさいだ。そして、彼女を抱きかかえ、引きずってベッドまで連れて行き強姦した。
「何だ、初めてだったのか。男をコケにした罰が当たったんだぜ!お嬢さん。俺は不能でなくて、こういう形でなければ興奮しないんだよ。」と言って、彼女を解放した。
櫻子は身体の痛みと恐ろしさで気が動転し、どこをどうやって帰ったのか分からないまま、部屋でシャワーを浴びていた。汚らわしい男に破瓜された痛みは心の痛みに代わり、恐怖心は憎悪と恨みに化していた。一方で、自責の念にとらわれ、調子に乗っていた自分を悔やみ、自己嫌悪に陥っていた。
それから1週間は学校を欠席し、SNSのアカウントも削除して外部との接触を避けていた。久し振りに登校すると、人の目が気になって仕方がなかった。授業が終わって帰ろうとすると、校門に見覚えのある車が停まっていて、あわてて裏門へ向かい走って帰った。
その後、付きまとわれる事はなかったが、成人式の日に集まった高校時代の5人の仲間に打ち明けた。法律を学んでいる杏が心配して、一緒に警察に行ってくれた。そこで分かった事だが、黒岩圭吾は偽名で、既に婦女暴行の容疑者として逮捕されていた。SNSを利用して、櫻子と同じ手口で、複数の女性を暴行していたという事だった。
櫻子は自分のしていた事を深く反省していたが、この事がトラウマとなって、男性との交際をしばらく避けていた。
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