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1 高校を卒業して、地下アイドルとして活動する
高校を卒業した鴫野芹菜は進路も決まらず、いくつかの芸能事務所に応募していた。アイドルになる事が夢で、かろうじて地下アイドルの事務所に入る事ができた。母親を説得して上京し、アルバイトをしながら活動していた。きらびやかな衣装に身を包み、ミニスカートで歌い踊るステージは、芹菜にとって夢を実現させるための第1歩だった。芹菜を推してくれるファンは何人かいたが、その中で特に熱心な古橋仁朗と仲良くしていた。
事務所は恋愛と男女交際を禁止していて、特にファンとのプライベートの付き合いは御法度だった。そうはいうものの、メンバーの女の子達には彼氏がいて、芹菜もその例外ではなかった。アルバイト先で出会った藤木一成と恋愛関係にあったが、古橋とはただの男友達として付き合っていた。古橋は自称フリーターの25歳、でっぷりとした大柄な体格で、女子に好かれるタイプではなかった。彼も何かを求める訳でもなく、芹菜と一緒の時間を過ごせるだけで幸せだった。彼女に彼氏がいても、それを邪魔する事もなかった。
藤木一成は大学生で、バイト先のコンビニで芹菜を見初めた。チャラ男の典型で、友人と一緒に女の子に声を掛け、何人もの子と関係を持っていた。芹菜には何回もアタックして、振られてもしつこく迫り交際に漕ぎつけた。彼女は好みではなかったが、彼の強引さに墜ちてしまった。
「芹菜、キスしよう!」とコンビニのバックステージで迫ったのは、交際を始めてすぐだった。彼女は拒否したが、無理矢理キスしていた。
「芹菜、お前の部屋に行っていいか?」と言って、彼女の部屋に押し掛けたのは、それから1週間後だった。芹菜は嫌な顔をしていたが、当然のように彼女を抱いた。抵抗する彼女を乱暴にねじ伏せ、思いを遂げた。
「藤木さん、ひどい!無理矢理するなんて、もう帰って!」
「お前だって、したかったんだろう!可愛がってやるから、俺の言う通りにしていればいいんだよ。」と言う彼を、芹菜は恐ろしくなった。
その後、藤木はたびたび部屋に来て、彼女を思うようにしていた。芹菜が自分に従わないと、暴力を振るうようにもなっていた。芹菜はコンビニを辞めて、古橋に相談した。古橋は、藤木との関係について問い質す事もなく、快く相談に応じてくれた。アパートにも帰れず、古橋の家に居候する事になった。彼は実家に父親と二人暮らしで、一部屋を芹菜のために提供してくれた。彼は藤木のように迫って来る事もなく、奇妙な生活が始まった。しかし、アルバイトを居酒屋に変えたため、アイドル活動は時間的に難しくなっていた。
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