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1 真莉愛は坂上純人と結婚し、一児の母になる
南真莉愛は坂上花純の兄、純人と結婚し、1歳の子を持つ母親になっていた。24歳で一児の母になるとは、本人も周りの人間も想像つかなかった。
高校生の真莉愛がトラブルに巻き込まれたのを、助けてくれたのが大学生の坂上純人だった。それ以来、真莉愛は彼に好意を寄せていたが、その時は恋愛対象として相手にされなかった。
高校を卒業した真莉愛は、短大の保育科に進んだ。一方、純人は県庁に就職し、家を出て一人暮らしをしていた。高校を出たら交際を考えるという彼との約束が、果たされないまま時が過ぎっていった。真莉愛は純人を一途に思い続けていたが、お互いに忙しく会う事ができないでいた。そんな彼女の心を察して、花純から兄が夏休みに帰省するという連絡を受けた。
「純人さん、お久しぶりです。私のこと、忘れていませんよね。」
「忘れる訳ないよ。南さんとの約束のことだよね。出張とか研修で忙しくて、連絡できなくてごめんね!それに、南さんにも他に好きな人ができたかと…。」
「そんな、ひどいな!ずっと忘れずにいたんだから。純人さんこそ、付き合っている人がいるんですか?いないなら、私とお付き合いをしてください。」
真莉愛は彼の冷たい態度にがっかりしたが、自分の思いを素直にぶつけた。
「ごめんね!南さんがそんなに思っていてくれて、中々会えないかもしれないけど、付き合ってくれるかな。いや、付き合おう!」
彼の言葉が嬉しくて、真莉愛は抱き付きたくなるのを我慢していた。
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