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エピローグ
街にはたくさんの人がいる。
たくさんの人と出会い、別れ、また出会う。
私はまだ彼女と出会えずにいた。
「はい。そちらの資料に関しましてはー」
パンツスーツに身を包み、スマホ片手に電話をしている自分がショーウィンドウに写る。
随分時間が経ったのだなと思い知らされる。
LINEの通知はかわいい黒髪の子からだった。
『月島さんが好きなのは本当に私なの?』
私は既読も付けずに彼女を消した。
最低なことをしているのはわかっている。
何度も彼女を求め、何度も彼女を重ねた。
私は何をしているのだろう。
黒髪の女性が隣を通り過ぎる。
なびく髪を思わず目で追う。
風にまう淡い色のワンピースを私は走って追いかけた。
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