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こうなってしまった以上、私からあなたへ、何かを手渡したりあなたを助けたりすることは難しいみたい。ごめんね。
ただ、あなたがずっと昔、教えてくれたこと。
『生きている人が死者を思い出すと、天国でその人の周りに花が咲く』
今の私ができることは。私からあなたへ贈れるものは。思い出で咲く花だけ。
だから毎日、毎日、何度も、たくさん、思い出すよ。どんなに楽しい日も、ここにあなたがいればなんて言ってくれたかなって。あなたの笑顔を思い出すよ。どんなに悲しい日も、ここにあなたがいれば、私のために泣いてくれたかもしれないって、あなたの優しい声を思い出すよ。その度にきっと、あなたの周りに花が咲くって信じているから。
あなたが自分をやめてしまうことを、続けていくことをやめてしまうことを、そんな悲しいことを選ぶ前に、私にできることはなかったのだろうか。何も届かなくなってしまう前に、伝えられることはなかったのだろうか。
ごめんね。ごめんね。
あなたのために祈る、あなたの笑顔を思い出す、笑うあなたの周りに色とりどりの花が咲くように。私からあなたへ唯一できること。ごめんね。
あなたの好きな色の花が咲きますように。もう苦しくないように。ごめんね。
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