さじ加減は side櫂

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「いいよ、夜だし危ないし。気持ちだけで」 『……この前よりは早いと思うけど。あ、もしかして料理の腕疑ってる?』 「いや、それは思ってない!断じて!」 何故か食い気味に返してしまった。 それに、この前とは来るにしたって事情が違う。 『ふふ、良かった。その……長居はしないから。つまらないグチ聞いてくれたお礼と思ってくれればいいかなって。行っていい?』 間が絶妙で、ノーと言わせないような声色だ。可愛いな、全く。 「分かった。待ってる。気をつけてね」 素直に返事をし、通話を切った後でふと気づいた。 長居しないからって言ったよな。あれ、エッチなし? いやいや、ご飯を作りに来てくれるんだ。顔を見れるしそれだけでもありがたいのに、変な期待をしてはいけない。明日もお互い仕事があるし、よくよく考えたら一昨日したばかりじゃないか。そりゃ、入れてないけど。 心の中で繰り返し言い聞かせて、煩悩を振り払った。
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