ロイヤルホテルにて side櫂

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ロイヤルホテルにて side櫂

閑散としていたロビーに、人影が現れたのは予定の15分前だった。 ちら、と見ると、編み込んでアップにまとめられた髪に、白のジャケットに紺のワンピース姿。 ふうん、清楚な感じか。 たぶん、あの子だろうな。と当たりをつけたところで目が合って、会釈をされた。 間違いなさそう、かな。ソファから立ち上がって、彼女に歩み寄った。 「……木山さんですか?」 「はい」 「はじめまして、柴崎(しばさき)と申します。忙しい中時間作って頂いてありがとうございます」 「あ、いえ……こちらこそ」 少し困惑したような表情を浮かべている。堅かったかな、挨拶。 「取りあえずカフェラウンジに行きましょうか」 取り繕うように促すと、パンプスのヒールが引っ掛かったのか、歩き始めようとした木山さんの身体がぐらついた。
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