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「それじゃあ!ここからは生徒会庶務の僕、朝日奈伊織と」
「僕、朝日奈詩織が説明するよ!」
「「よろしくねっ」」
同じ顔が声を揃えてパチンっと可愛らしくウインクをした。途端に湧き上がる黄色い声。副会長が静かにさせた意味は……なんて考えていると、そんな生徒たちの反応に満足そうに笑って顔を見合せた彼らは、またもやピッタリ息を合わせて交互に話し出す。
「きっと皆、今日は何をするのか気になって待ちきれないよね」
「今年も僕たちが一生懸命考えたすっごーく楽しい企画になってるよ」
「「教えて欲しい〜?」」
やけに場馴れした軽快なトークを披露しながらステージ上をくるくると踊るように歩き回る朝日奈兄弟。そんな彼らの呼び掛けに、生徒たちは熱気溢れる歓声を返した。
「うんうん」
「素直なお返事ありがとう」
伊織先輩と詩織先輩はピタリとステージの真ん中で止まって、それから一層声を張り上げる。
「それじゃあお待ちかね!」
「今年の新入生歓迎会は……」
何故かスピーカーからドラムロールが流れ、ステージ上のライトがパッと二人のみに当てられる。
「「サバイバルゲームでーす!」」
じゃーん!と愉快な音とともに無駄に盛大に発表された新歓の内容に、大変ノリがいい生徒たちがまたもや大喝采する。
サバイバルゲーム、って、エアガンで撃ち合う奴か?確かにこの学園はだだっ広いから出来なくもないと思うけど……詳しいルールなんて知らないしなぁ。
「と言っても、サバゲーもどき、なんだけどね!」
「いくら予算に余裕があったって一度しかない今日の為に本格的な諸々を用意するのはね〜?」
確かに安全面を考慮すると一式を揃えるべきだし、そこにお金をかけるのは圧倒的に愚策だ。
金銭感覚は狂っていない様子の彼らに少し安心して、でもじゃあどうやって、と考えたところで伊織先輩が「だからね」と続ける。
「今回はこれがエアガンの代わり!」
そう言って袖幕から引っ張られてきたのは、プラスチック製のカラフルな玩具。あれは……
「「水鉄砲だよ!」」
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