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あれから双子がきゃらきゃらとはしゃぎながら説明したルールを簡単にまとめると、つまりはこういうことらしい。
今年の新歓は所謂ウォーターサバゲー。エアガンの代わりに水鉄砲を使い、この学園の敷地内で全校生徒のバトルロイヤル。全員に配られるのは水鉄砲と、濡れると色が変わる的が三つ。腕に付ける方式なっていて、全てを撃ち抜かれたその瞬間にゲームオーバー。
ふぅん、結構面白そうじゃん、って……ん?待てよ?敷地内って、校舎の中もOKって事か?いやいや水浸しになるだろ。しかもこの大金持ち学園、そこら辺に高級アンティークやら装飾品やらがごろごろしてますが大丈夫???
と、そう考えていたところで双子から補足が入る。
「あ、そうそう、立ち入り禁止区域もあるから注意だよ!例えば図書室とか、資料室とか、勿論職員棟や寮内もNG!」
「行っちゃダメな所にはちゃあんと立ち入り禁止の黄色いテープが張ってあるから注意してね!」
「それから鍵がかかっている教室も範囲外!無理やり入ろうとしたらメッ、だよ?」
「悪い子にはお仕置きが待ってるから、ね?」
にぃと妙な色気を含ませて笑った伊織先輩と詩織先輩に、ガチムチの男達からを中心に声が上がる。この勢いだとお仕置目当てにわざと入る奴が出てきそうで怖いな。ていうか何かあのお二人が俺の方を見てる気がするのも怖いな。
絶対にそちらを見ないようにしながら耳だけを傾ける。さっきも言った通り、この人数で俺を見つけたなんてことは流石にないと思う。が、しかし!念には念を入れる事が大切だよね!!
そうして説明を聞いていくと、普段から作動している学園内のカメラは今日もバッチリ動いており先生方も風紀委員も監視の目を効かせているため、不正は難しいとさらに釘を指していた。
「よぉし!それじゃあ一通りは理解出来たかな?」
「あぁそうそう、ち・な・み・に!」
「今年の豪華賞品は『親衛隊持ち生徒との一日デート券』だから、皆頑張ってね?」
最後に落とされた爆弾に、会場中は悲鳴と歓声で溢れかえる。各学年の中で最後の二人に残った計六人が景品を貰える事になるらしいが、想像以上に景品を貰える人数が多い。選ばれる確率を少しでも下げたい俺には迷惑な話である。
そこは最後の一人だけにしろよ!ああもう、こうなったらもう自分が最後まで生き残ってひと枠潰すしかないな。俺の親衛隊員は一年生が多いから、一年生のひと枠が無くなるだけでも俺が選ばれる可能性は低くなる。
むくむくと湧き上がってきているやる気を胸に、俺は一人静かに燃えていたのだった。
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