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「キャー!駿河会長様愛してますー!」
「篠宮副会長様!!蔑んで下さァい!!」
「花菱せんぱぁい!!今夜空いてますかーー!!」
「伊織くーん!詩織くーん!世界一可愛いよー!!」
「九重の兄貴ィ!!一生着いていきます!!」
各々に愛を叫ぶ親衛隊の彼らの勢いをものともせず、生徒会長を真ん中にザッザッと足音を立てて歩く役員たち。親衛隊への対応も慣れたもので、まさにトップと言うに相応しいオーラを纏っている。
「ほら、あれが生徒会。俺なんかとは比べ物になんない人気でしょ?」
「な、何か鬼気迫る勢いって感じだな……」
ほぇーと口を開けながら彼らを見つめるハル。まあ全員文句無しに顔がいいからな。ただ、ちょっと性格に難アリな奴が多いのは事実。
例えば、生徒会長の駿河獅騎先輩はカリスマ性溢れる圧倒的美形だ。ハーフであるらしく、はっきりとした顔立ちと自然な金髪はかなり目立つ。勿論大人気なのだが、ただしかなり強気な性格だ。
あと会計に並んで貞操観念がゆるゆる。性欲処理は専ら親衛隊の仕事らしく、ほぼほぼ一度は抱かれていると噂で聞いた。無理強いはしない主義だと言うし、個人的には本人たちがいいならいいとは思うけどね。
それから副会長の篠宮千尋先輩は枝毛ひとつ無い美しい黒髪とシミひとつない美しい顔を持つかなりの美人さんだが、びっくりするくらい毒舌だ。
癖が強い生徒会役員をまとめるためにはきっと必要な人材なんだろうが、入学式で黄色い悲鳴を上げていた生徒たちに向かって『申し訳ありませんがお静かに。待ては犬でも出来る筈ですが……』と綺麗な笑みで言い放ったあの瞬間俺は絶対に関わらないと決めた。歪んだ性癖の奴らにはドストライクらしいぞ。
と、そこまで考えて、何だか歓声が近付いてきている事に気付いた。ハッとして生徒会の団体を見ると、明らかにこちらへと体を向けている。
「……ねぇ、ユズ、来てるよね」
「ああ!来てるな!!」
「な、なんかすっげぇ嫌な予感……」
ハルの言葉に全力で同意する。ユズは嬉しそうにするんじゃないよ。
ていうかえ、マジで?あれ本当に起こるの?食堂イベ??
キラキラオーラ全開の生徒会御一行様方が、真っ直ぐとこちらに向かっていた。
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