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【私は神だ、ウサタンを返してもらえないのならば一人ずつ眠ってもらおう】
寝てるだけか、と部長は胸をなで下ろした。しかし何か言えば今度は眠らされるだけでは済まない気がして、皆も黙っている。
「ど、どうすればいいですか」
【ふむ、ウサタンとその男をこちらへよこせ。それだけの能力が貴様らの……か、会社? にはあると見受けた】
「へえ、まあありやす」
急に江戸っ子じゃん、と社員は部長を一斉に見る。神様も日本語がよく分からないようで、お互い混乱しているようだ。
【あ、あと、ついでなんですけどね】
「はい?」
神様丸出しだった口調が今度は随分下からな言い方に変わった。
【月がどんどん汚くなっていって、どうにもできないから掃除を依頼したいのだけども……お金がないので、他のものでもいいでしょうか】
「月面掃除のご依頼ですか?!」
【ええ、まあ……そのウサタンを乗せている社員は優秀そうなので……で、できたらで大丈夫です!】
「して、対価というのは」
宇宙開発部の経理が肩で眼鏡をくいっとあげて神様に尋ねる。
【皆さんの生涯の安眠、並びに月面の一部貸し出しと月の石十個でよろしいでしょうか】
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