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「いやあ、休み明け早々申し訳ない。どう、体調のほうは」
「おかげさまで大分良くなりました」
有給病欠が明けて最初の出勤日、僕は人事部係長とともにとある産業廃棄物処分場にきていた。
「だあれも集まらなくてね、困ってたんだよ」
「はあ、そうなんですか」
あの宣伝、なんとうちの清掃会社が主催なのだという。宣伝内に社名もなければホームページも杜撰で、大型ビジョンの宣伝を撮った動画もSNSでも対してバズらなかった。「そりゃ誰も来ないでしょう」と突いてやりたかったが、面倒なので適当に相づちをうつ。
「それで、僕はなにを」
「このゴミと一緒に、宇宙開発部へ行ってくれ」
「う、うちゅ、か、開発部?」
そうだ、と係長は胸を張る。この会社、一体どこを目指しているのだろう。半分呆れながら、とりあえず上司命令なのでとトラック四台を従えて宇宙開発部がある海沿いの施設へ向かった。
「なんじゃこりゃー!!」
思わず叫ぶ。巨大ミキサーが目の前にある。監視員は三メートルある長い梯子に登り、クレーンを使って持ってきた産業廃棄物をミキサーへ突っ込んでいく。
「ドロドロに溶かして燃料にする、そうして月まで飛べるのさ!」
宇宙開発部の部長はハッハッハと高らかに笑った。監視員や他の従業員たちもヒューだのイエーイだのテンションを上げている。あれ、大丈夫かな。これヤバイ団体じゃない? 本当に大丈夫? あまりにもかけ離れたテンションに「は、ははは」と僕の頬は引き攣る。
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