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「ぶ、部長おおおおお!」
「くくくく久のののの野ささささんんんんん」
メガホンで話されても地上まで遠すぎて言葉がぐわんぐわんしてます、部長。あと部長、募集要項に「健康な男女」ってありましたね。ね。僕、全然健康じゃなくて有給病欠使ってたんですけど大丈夫ですか? 病欠って知ってます?
「かかかか肩にねねねえ、うううううささささぎぎぎぎねねねね、乗ってててるるかららららあああ、いいい一緒にいいいい、つつつ連れていってあげてねええええ」
「は、はいー?」
上手く聞こえない。なにが肩にだって?
「じじじじゃあああああ、いいいいいい行っくよおおおお」
「えっ?!」
行くって、まさかこのまま?!
「ささささん、ににににいい、いいいいち、ごごごゴー!」
――ちゅどーん!
「いーやー!!」
お尻の下が焼けそうに熱い! と思ったのも束の間、ミキサーごと爆発したのではないかと思うほど巨大な音に鼓膜も僕もぶるぶる震えて今すぐにでも気絶しそうです。
「いー! やー!」
ものすごい勢いでプールサイドの監視員の椅子が登っていく。え、宇宙って酸素ないんじゃない? 酸素どっからくる?
「きゃああああああ」
文字通り喉が枯れるほど叫んだ僕はいつの間にか気絶していて、気がつくと顔面で月面着陸していた。
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