3 レア・アルファ

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「このスイートは僕がプロデュースしたんだ。もちろん、僕自身は建築のプロじゃないから、デザイナーや建築家の手を借りてだけどね。この部屋は君をイメージして作ったものなんだよ」 「俺を?」 「そう」 「けど、俺たちまだ出会ったばかりじゃ」 「うん。だから、僕の運命の相手はきっとこんな人なんじゃないかなあと想像しながら、その人が好きになってくれるのはどんな部屋かなと考えて、いつかきっとふたりですごしたいと夢見ながら作ったんだ」 「……」  何というか、このCEOは非常にドリーマーな性格をしているようだ。たしか、歳はウィキによると二十七。なのに少年のような無邪気さがある。 「これを、俺に、見せたかった?」 「そう。これが僕のできることで、君にまず見せられる最高のプレゼンだったから」 「はあ、なるほど」  自己紹介みたいなものなのか。それをわざわざ数年かけて準備するとは、どれだけ運命のオメガに入れこんでいたのか。 「ていうか、あんたすげぇ人なんだな。住む世界が違いすぎる」 「ええ? そんなことない。ここにあるものはすべて、君が望めば手に入るものなんだよ。僕と結婚すればね」  にっこりと微笑まれて、陽斗は若干身を引いた。 「……」  身の程をこえた幸せは、何というか分不相応な気がして少し怖い。  この男と結婚すれば金銭的には楽になるだろうが、果たしてそんな簡単に受け入れていいものなのか。 「陽斗君、夕食は食べたかい?」  考えこんでいると、それを読んだかのように、高梨が話題を変えた。
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