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「……ん」
「ベッドに連れてってもいい? それともここでする?」
高梨はいつも、陽斗に了解を取ってから行為に移る。
「ベッドで……。生活空間はちょっとイヤかも」
「わかった」
高梨は陽斗の身体をヒョイと抱えあげるとリビングを出た。ふたりの身長差は十五センチほど。レア・アルファである高梨は、背広の上からはさほど感じられないが、筋肉がついた逞しい身体をしている。それはホテルで一晩すごしたときに見ていたのでよく知っていた。
しかし、高梨はあの夜、陽斗のフェロモンに負けて服を脱いで以来、この家にきてからは、一度も行為で服を乱していない。いつも肌をさらして喘がされるのは陽斗だけだ。それはなぜなのだろう。
高梨は陽斗を軽々と持ちあげたまま二階にあがり、陽斗の部屋のドアを片手で器用にあけて中に入ると、ベッドの上におろし、傍らにおいてあったアタッシュケースを引きよせた。
「今日はどうしてあげようか」
ケースの中には、ブジーやローター、ローションにコンドームなどが整然と並んでいる。自分の身体を何度も犯して泣かせた道具類を見ていると、無意識のうちに下肢の奥がジクジクしてきた。
「……あの」
ベッドの上で両足をすりあわせながら、陽斗が小さな声でたずねる。
「ん?」
隣に腰かけていた高梨が瞳を向けてきた。
「俺、いつも高梨さんにしてもらうでしょう。色々と」
「うん」
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