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練習後、智志と世理は馴染のバーで飲むのを楽しみにしている。
「ねえ。永遠子ちゃん病気なんでしょ。ついに来ちゃったか」
「ちょっと待て、来ちゃったってなんだよ」
浮かない表情の世理。その不自然な物言いに、智志は何かを見透かされたような違和感を覚える。
「心臓の先天的疾患。左右の心房の間に穴…心房中隔欠損症だっけ」
正確に言い当てる世理に、智志は少し恐怖する。
「高校入学前に手術したんだけどな。なんでそこまで知ってるんだよ?」
「ああ。私、神様だもん」
笑えないネタに智志はイラ立つ。
「いや冗談はいい」
「誰が冗談よ。神様だっての。ほら名前も」
神 世理。確かに。
「…あのな、いいか。よしんば本当に神様が人間界にいるとして、んなわかりやすい名前を名乗るかね?」
世理は赤ら顔で反論する。
「悪かったわね!私もそう思ったけど弟が…直広のやつが、あからさまな方が逆に怪しまれないっていうから」
「誰が信じるかよ。まあそのバイオレンス、死神というならわからんでもないけど」
「人間の生殺与奪を握るって点では、死神ともいえるわね」
「だから信じられるか!じゃあここで神って証明してみろよ」
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