第七話

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 私は携帯のメッセージを確認していた。 相手は、演奏会の後、すぐに帰宅したシオリ母さんだ。 『・・用意できたよ。 なんだか緊張するけど、待ってる。 ・・私に、会ってくれるのかな・・』 なんてメッセージが来ていた。 だから、 『当たり前じゃん。 これは偶然なんかじゃないよ。 神様がくれた私たちへのプレゼントなんだよ。』 と、そう返信した。 今日は、事前に父さんにも事情を話した上で、父さんの仕事の帰りを遅らせてもらった。 ・・と言っても、いつでも大抵は残業か仕事の付き合いとかで夜遅いんだけどね。 今日の事を伝えたときに、 『親子の氷が溶けることを願ってるよ。 みんなで幸せにならないとね。』 そう言ってくれていた父さんの心の広さと思慮深さには、本当に頭が下がる。 それから、コトリちゃんと私は、コトリちゃんが一度も来たことがないの家へと自転車を漕いで向かった。 蛍が舞っている様子は、本当にキレイだ。 こんな風に、コトリちゃんと一緒にこの風景を見ながら自転車を漕ぐ日が来るなんて、本当に夢のようだ。 コトリちゃんは心なしか、緊張している様子だった。 だから、 「コトリちゃん、大丈夫だよ。 なんでもないよ。」 と、一言だけだけど声をかけた。
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