第七話

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 夜の街灯がいくつか見えるなか、玄関の隣の駐輪場に自転車を停めて、そして玄関のドアベルを鳴らすと、待ち構えていたようにドアが中から開いて、エプロン姿のシオリ母さんが出迎えてくれた。 「よ、ようこそ。 いらっしゃい。」 と、やや緊張気味に言うシオリ母さんだった。 「もう、母さん! おかえり。 でしょ?」 そう言うと、 「そ、そうだったね。 お、おかえり・・。 おかえりなさい。」 その言葉を聞いて、私は少し涙腺がうるっとしてしまった。 今度は、コトリちゃんを私が促す番だ。 「コトリちゃん、 おかえりなさい。」 そう言うと、 「た・・ ただいま・・」 そう言ってから、もう一度。 「ただいま・・。」 と、自分の言葉を確かめるように言っていた。 私たちは、この瞬間を、ずっと待っていたんだ。 やっと、やっと叶ったんだね・・。
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