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そう言った後は、シオリ母さんはテーブルの一点をじっと見て、涙が溢れるのを必死でこらえていた。
「ごめん・・
ごめん・・
ごめんね・・
ごめん・・
ごめんごめん・・」
コトリちゃんの目を見れないまま、そう言いつづけるシオリ母さんに、コトリちゃんは、
「お母さん、私、ずっと言いたかった言葉がある。
少し前にね、お母さんがどんな思いで今日まで過ごしていたのかを、知る出来事があったんだ。
私ね、正直、愛されていたなんて思ってなかった。
私は要らない人間なんだって思ってた。
どれだけ誰かが私を持て囃していても、私が欲しかったのは、そんなものじゃなかった。
お母さん、私を産んでくれて、私を愛してくれていて、ありがとう。
私もお母さんが大好き。
大好きだよ・・。」
そう言って、コトリちゃんは大粒の涙をこぼしていた。
それを聞いていたシオリお母さんは、下を向いて必死で涙を隠していたけど、大粒の涙が両手を濡らし始めると、嗚咽がこぼれていた。
「ありがとう・・
ありがとう・・
ありがとう・・・・」
コトリちゃんは、そう言って泣き崩れるシオリ母さんの側にたって、
「お母さん・・」
そう言った瞬間に、コトリちゃんの涙腺も決壊していた。
「お母さん・・
お母さん・・
お母さん・・!!」
何度も何度もそう繰り返すコトリちゃんの言葉のなかに、ありがとうと言うお母さんの言葉が混ざり合って繰り返されていた。
何度も何度も・・
私も、そんなふたりを見て、私はさらに溢れる涙を止めることが出来なかった。
本当に、本当に良かったね・・。
私は、私たちは、これで良かったんだ。
私たちは、運命の悪戯によって、ものすごく長い時間すれ違っていたんだよね・・
でも、もう大丈夫。
私たちの絆は、これからちゃんと作っていける。
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