第七話

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しばらく経って、コトリちゃんとお母さんが泣き止んだ頃・・ 「いつかさ、みんなで音合わせしようよ。 お母さんのピアノと、ユウカのフルートと、私のパイプオルガン。 知ってる人皆呼んで、皆に聴いてもらってさ・・。」 コトリちゃんがそう言うと、 「うん。 それはいいね! 私、ふたりの足を引っ張らないように練習しなきゃね。」 お母さんは泣き笑いの、私が今までみたことのないくらいの豊かな表情で、そう言った。  私の心のなかには、苦しみも悲しみも全て引っくるめてちゃんと乗り越えた心の風景を表現したような、ベートーベンのピアノソナタ31番の最終楽章のあのフーガに続く、喜びと光に満ち満ちたカデンツが鳴り響いていた。 この時に、私は確信した。 私たちの未来は、これから築いていけるんだって。 私たちはきっと、これからどんなことがあっても乗り越えていけるんだって。 これからは、ずっとずっと・・。
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