第一話

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 体育館では赤と白の垂れ幕がかかり、壇上には演台の後ろにある金の屏風と共に、ゴージャスな生け花が両脇に見える。 ふと、決して高くはない天井を見上げると、そこには天井を支えるための無垢の木で組み上げられた梁が幾何学模様を作り出している。 この日が来ることはわかっていたのに・・ 鉄骨のフレームは左右から伸びていて、天井で結ばれている。 その鉄骨フレームを基軸に、天井には卵の内側を連想させるような、白に近い木材が組み合わせられている。 さらに、天井からの照明が、ワックスでツヤツヤしている床を光らせていているから、どこか夢心地な雰囲気を醸し出している。 その体育館で流れている春めいた演奏は、我らスウィート・メイプル・ムジクと、ブラスバンドの在校生との合同によるものだ。 場にふさわしい卒業式らしい曲を、私たちは心を込めて演奏していた。
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