第一話

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 そして、ソメイヨシノよりも、校舎にあるヤエザクラが満開になった頃に、新入生の入学式が催された。  私達の嵐明(らんめい)高等学校の校舎は、歴史的価値のある和洋折衷な造りになっていて、もちろん許可はいるけど、観光のついでに写真を撮っていく人々も多い。 嵐明高校の正門を潜ると、左手に旧校舎の礼拝堂があり、そこが左校舎と繋がっていて、左校舎の三階部分の半分は、プールになっている。 全体的には、イングリッシュガーデン風の中庭を経てコの字型に建てられており、中校舎から体育館に繋がっていて、その向こうにはグラウンドがある。 なお、環境保全区域の建物の高さ制限のため、校舎は中校舎は二階建てで、左校舎と西校舎は三階建までとなっている。 そして、政令都市の権限で、この一体が環境保全区域になっていて、ほどよく田舎な場所にあって夏前には蛍がほのかな光を灯してくれる。 冬にはささやかながらも雪が降る。 でも、盆地だけあって、冬の底冷えは厳しい。 私は、この土地にある、この校舎が大好きだ。
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