無垢と足跡

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無垢と足跡

 昨日の天気予報を見てから、ずっとわくわくしていた。  日曜日の朝、僕はいつもの休みの日よりも早起きして、手早く着替えるとそのまま外へと飛び出していく。 「ちょっとシュウヤ!あんまり走っちゃダメ、転ぶわよ!」 「わかってまーす!」  母の声が後ろから飛んでくる。マンションの階段を駆けよりて、自転車置き場へ。この地域ではやや珍しい雪が降ると、大抵この自転車置き場が真っ白に染まって、住んでいる子供たちの遊び場へと変貌するのだ。  嬉しいことに、僕が一番乗りだったらしい。綺麗な雪がたくさん積もっているのが嬉しくて、僕はぴょんぴょんと飛び跳ねて喜ぶ。カマクラが作れるほどの量ではなさそうだが、雪だるまを作るのにはきっと十分だろう。 「いっちばんのりー!」  そして一番乗りの醍醐味といったらこれだ。  僕は真っ白な雪に大股で踏み出して、ざっくりと足跡をつけた。自分の靴跡がしっかりつくこの瞬間がたまらない。  さて、今回はどれくらい大きな雪だるまが作れるだろうか?
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