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晴れた日に、君と
その日から、俺の生活は一変した。
勤めている会社に事情を話して部署を変えてもらい、定時で帰れるようにした。給料は減ったが、麻美と生きていくためだ。節約を心がけよう。
麻美の通院日には、できるだけ一緒に行くようにして、俺自身もうつ病について学んだ。
俺が仕事に行っている間は、義両親に交代で来てもらい、時には俺の両親にも協力してもらった。
麻美の症状は一進一退といったところで、元気に過ごしている日もあれば、泣きわめいたりする日もあった。麻美が荒れている時は、彼女の言葉に振り回されないようにしながら、適度に声をかけて見守った。
家事も積極的にするようになっていた。料理は独身時代からしていたこともあって苦ではなかったが、掃除や片付け、そして美咲の世話が大変なのだと改めて実感した。家事というのは、やってもやってもきりがなく、終わったと思ってもまた別の仕事が待っている。
麻美の苦労が少しだけわかるような気がした。
ある晴れた日に、美咲と一緒に家の中を掃除した。美咲はこのところ家の手伝いをしたがる。幼い娘にできることは限られているが、せっかくやる気になっているのだからと手伝わせている。かえって手間が増えることもあるが、それもまた思い出だ。
「弘樹さん、私も一緒に掃除するわ。今日は気分がいいの」
差し込む陽の光の中で、麻美が穏やかな微笑みを浮かべながら立っていた。
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