亡霊の怨念

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「何が起きた!?」 屈強な男が足早に渡り廊下を歩き、兵士に問う。 「は!幾人かの敵がここソレイユに潜伏していてたようで、各地で一斉に奇襲が始まりました!それに乗じて隣国の『バーバラ』軍が雪崩れ込んできています!」 「バーバラだと!?何故今になってこの様な愚策を…。まぁよい、各地に軍隊長を派遣して鎮圧しろ!それと俺の『トライデント』を持ってこい!」 男の名は真インセンス帝国将軍、ポセイダル・ドラゴン。 "支都"の一つであるソレイユの長だ。 「良い機会だ…内政が安定した今、俺たちに敵はない…!止めを刺してやるぞ、バーバラ…!」 ーーーーーーー ーソレイユ市街地ー グリーフ王国の亡霊、プレース・ロアは向かってくる敵兵を容赦なくスナイプジュピターで吹き飛ばしながら飛行していた。 やがて既に奇襲が始まっている戦地へと辿り着く。 対応が遅れているインセンスの兵たちは散々に打ちのめされていた。 「ロアくん!遅いぞ!」 下からロアを呼んだ男は手に巨大な大砲の様なものを持ちながら軍の指揮をしていた。 彼の名はマドロック・ローガン。 かつてグリーフ王国の隊長の一人であり、『ガーザスの戦い』では総大将を務めていた。 「ローガン隊長…!作戦は無事に上手くいったみたいですね」 「判断するにはまだ早い!増援が来る前に速やかに『真ソレイユ城』を堕とすまでが作戦だ!君無しでは容易ではない!」 上空のロアにそう言うとローガンは軍の進行方向を指差してもう一度大きな声で言った。 「あっちに少し行けばもう城の麓だ!ここは我々だけで問題ない!やってくれるな?」 ローガンにそう言われたロアは辺りを見回してみる。 各地の戦火は着実に城へ近づいている様だ。 「"カフィ隊長"も"ローザ隊長"も上手くやってるみたいですね、分かりました、後は任せて下さい」 そう言うとロアは真っ直ぐ、真ソレイユ城へ向かって飛んでいった。 ロアを見送ったローガンは目の前の戦いを見ながら決意を固めて呟いた。 「泣いても笑ってもこれを最後にする。"パラディン"殿、我々はあなたの野望を必ず止めてみせる…!」
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