亡霊の怨念

3/6
前へ
/138ページ
次へ
ー市街地リリー ロアの衝撃の発言と行動を未だに受け止められなかったエピは座り込んでいた。 そこへ近隣の兵士たちが駆け寄ってくる。 「総隊長!ご無事ですか!?この惨劇は…!」 部下たちを見て漸くエピは重い腰を上げた。 「ああ…俺は大丈夫だ。それより誰か帝都へ行って報告だ、緊急事態だとな。残った奴らは住民の避難を最優先だ、行け」 「は、はい…!総隊長はどうされるのです…!?」 「俺は…」 エピは戦火の方を見る。 「総隊長として…戦線に参加する…!」 ーーーーーー 飛行していたロアは真っ直ぐに真ソレイユ城の100メートル圏内へ近づいた。 そして徐にスナイプジュピターを構えると小窓を目掛けて発射した。 ジュピターは城内部で爆発を起こす。 「なんだと!?」 中で戦の準備をしていたドラゴンは戸惑った。 (内部からの爆撃…?いや、この衝撃は外からだ。標高30メートルのこの場所を外から攻撃出来る手段は限られている…まさか…) ドラゴンが玉座の間にて考えているとその"答え"は目の前に姿を現した。 スナイプジュピターの爆発で城内の進路も退路も防ぎ、ただ1人現れた黒いラストアーマーの男。 「生きてきたのか、貴様…」 ドラゴンも自身のラストアーマーを着用すると一言呟く。 「どっちでもいいさ、俺はこの国の亡霊なんだから」 ロアは感情もなく一言返した。 「戯言を…バーバラを動かしたのがまさか貴様らグリーフの残党だったとはな。どうやって動かした?」 「さあな」 「ふん、まぁいい。いずれにせよ、まとめて止めを刺してやる」 ドラゴンは三叉槍、『トライデント』という専用武器を手に取った。 それと同時にロアが動く。 ロアはジャンプするとスナイプジュピターと剣型武装、『ワールドストリーム・レイジング』を構えてドッキングさせた。 そしてそのまま大きく振りかぶってジュピターのトリガーを引く。 ビームが鋒から伸びて城を中から貫く。 「何をしている…!?」 ドラゴンはトライデントを構えた。 「うおおおおおおっ!!!」 ロアは叫ぶとそのまま剣を振った。 ビームが城を貫いたまま薙ぎ払う様に距離を取っていたドラゴンを両断した。 「なっ…!?」 声にならない絶句を残し、ドラゴンは城ごと真っ二つになって絶命した。 切り裂かれた城の上段は崩落し、ロアは陽の光に照らされた。 周囲の騒めきはロアの耳には入らない。 ロアは剣を天に掲げて叫んだ。 「将軍、ポセイダル・ドラゴン!討ち取ったぞー!!!!!」
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加