亡霊の怨念

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「嘘だろ…なんだありゃあ…」 ラストアーマーIIに装着し、戦場へ向かっていたエピはソレイユ城の上段が吹き飛ばされているのを見て驚愕した。  スナイプジュピターを用いた斬撃だということは瞬時に理解できたのだが、それをやるという発想は自分の中にはなかった。 強いて言うならば、かつて自らが『フィラン滅却戦』でミドル・シリウスの雷撃を受け止めて放った斬撃と似ている。 だが、それとは比べ物にならない威力だった。 エピはソレイユ城へ向かって進軍する味方を見つけると、それを引き連れて先導した。 支都ソレイユは忽ち火の海となっており、住民たちの悲鳴が聞こえる。 やがてある程度ソレイユ城へ近づいたところでエピは軍の進行を止め、1人で飛行して様子を見に行った。 そこでは既にインセンス軍は鎮圧されており、旧グリーフ王国の兵やバーバラ軍が集結していた。 そして、城の付近でホバリングしている男が1人いた。 「まさか、ドラゴンさんはもうやられたってのか…?」 あっけなく堕とされた"支都"を見てエピの思考は停止する。 「おい、あれを見ろ!」 下の敵兵の1人がエピに気づき指を刺した。 一斉に敵軍が振り向く。 「早速お出ましか…良い機会だぜ」 カフィが因縁ありげな眼で睨みつける。 「確かにここで1人新型使いを堕とせるのはでかい。全員構えろ!」 ローガンは指示を出し、戦闘体制に入る。 そして空を飛ぶ黒いラストアーマーの男もこちらに気がついた。 「…来るなって言っただろ」 そう言いながら亡霊はスナイプジュピターを構える。 「ちっ!」 エピも一旦武器を取り出すが、自分に匹敵するほどの実力を持つロアとグリーフ軍の隊長3名が相手では戦闘は愚の骨頂だった。 「退却だ!全員第二拠点まで引き返せ!!」 無線で号令を出すとエピはその場から離れた。 (なんでこうなった…!まだ続くのか、この地獄は…)
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