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財布の中身は丁度よく3万円くらい。
今から新幹線乗っちゃえば、全然岐阜の実家帰れるんじゃない?
…と、勢いで新幹線に乗ってしまった。
乗ったはいいけど、実家に帰って何て言い訳したものか。考えても考えても思いつかない。
ので、名古屋駅から我が親友しおんに連絡しての、今ここ。
しおんの彼氏の和馬さんの家で、ただいま正座中。しおんももうここに住んでるから、まあ、しおんの家でもあるんだけど。
和馬さんは嫌な顔一つせずに迎えてくれて、僕としおんが気にせず喋れるようにと自分の音楽部屋に篭もってドラムの練習をしている。
ここまで説明すると、しおんはほぼ無の表情になった。
「いろいろツッコミたいところはあるんだけどね、りゅう」
テーブルを挟んで向かいに座るしおんが、静かに言う。
「今更それで喧嘩なの?」
静かに怒ってるな…これ。申し訳なさに頭を垂れる。
「しかも、それで新幹線まで乗って来ちゃうわけ?」
「すんません…」
いやもう、ほんとそうです。
「ちなみに我が家は初めてのクリスマスです」
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