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しおんは楽しそうに、サンドイッチをパクつく僕を眺めている。
「食べたら東京帰りなよ?」
僕は、素直に頷く。
「ちょうど開演間に合うよ。ライブ行きたいんでしょ」
「…うん」
やっぱり、玲次がミュージシャンしてる姿はめちゃくちゃカッコよくて、今でもそれが大好きで。だから、出来ることはこうやって協力してて。
しおんには、今でもそれを見透かされてしまう。見栄はって行きたくない、なんて言ったって無駄だ。
半分くらい食べ終わる辺りで、しおんは音楽部屋に行く。少しして戻って来ると、僕のマグカップをキッチンに持って行って、コーヒーを温かいものと入れ替えてくれる。
そこへ音楽部屋から和馬さんが出て来た。
「おう、それ美味そうだな」
残り一切れになったサンドイッチを見てそう言うと、しおんににっこり笑う。
「夕飯に作るから、和馬さんは後でね」
「楽しみだな」
微笑み合う二人はとっても幸せそうで、僕も何だか気が緩む。
「じゃ、俺着替えるわ」
その場でTシャツを脱ごうとする和馬さんを、しおんは慌てて隣の部屋に押し込む。
「もう! お客さん来てる時くらいあっちで着替えて!」
「へーい」
扉を閉めると、しおんはテーブルの前に座り直す。
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