5

2/2
前へ
/31ページ
次へ
 ここは居心地が良くてあったかくて。こんな僕を、そのまま受け入れてくれる。ずっと、ずっと、そんな場所だったし、これからもきっとそう。  もう諦めて二度寝しちゃおうかな。仕事サボってもいいかな? 甘えちゃってもいいかな。玲次の優しさに。  僕に誰よりも優しいのは、玲次だ。  そんなこと、昔から知ってる。  ごめんって気持ちと、ありがとうって気持ちと、今朝はごちゃまぜ。  トータルして言えば、やっぱりこいつが好き。  暫く大人しく抱き締められていると、くすくす笑う声が聞こえてくる。 「ん? 玲次?」 「何だ、今日サボりか」 「起きさせてくんないのは誰だよ」  起きてるんじゃん。抱き締めてくれる腕の強さは変わらない。 「さあ?」 「もう…」  玲次の顔を見上げる。ニヤニヤしながら僕を見てる。 「…サボりたくなった」 「よし」  僕の頭をゆっくり撫でながら、ヤツは頷く。  あーあ、僕、急に風邪ひいたかもしれない。何だか熱が上がってきたような気がするよ。  玲次に顔を向けたまま、目を閉じる。  僕に、キスして。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加