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 朝、目が覚めると、彼の腕の中…なんて甘いシチュエーションは我が家には基本的にない。  玲次と同棲してるんだろって言われるとは思う。同棲を始めて約23年。ずっと同じ部屋で、同じベッドで寝てるし。  間取り的にはベッド2台置けるし、何なら別々の部屋にすることだって不可能ではないんだけど。  でも、付き合い始めの頃に玲次の実家に泊まってた頃の感覚のまんま、ずっと一緒に寝てる。東京に来てから2回引越しはしたけど、別々に寝よう、っていう提案は僕からも玲次からも出たことがない。  逆に、ここに引っ越す時にベッドがセミダブルからダブルに進化した。  だから、そこそこ手足を伸ばして寝られる…はずなんだけど、何故か起きるとお互いの背中をぴったりくっつけて寝てるんだよね。  変な癖だなぁ。  今も、背中には玲次の温もりが感じられる。ダメだ、これ、二度寝しそう。思い切って起き上がる。  ミュージシャンっていうそれなりに時間が自由になる人種の玲次と違って、僕は勤め人なのだ。  布団から抜け出して、伸びをする。それから、玲次を思いっきり揺さぶる。 「玲次、れーいじ、朝!」
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