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ただ、あの不快感はどうしても耐えられない。
もしも、僕が知らない間に、僕からそれがなくなってくれてたら。もしそうなら。
玲次の腰に腕を回して、背中にぴったりくっつく。玲次は僕の手に自分の手を添えて、そのままじっとしている。
「…玲次」
「ん? 寝るんだろ?」
「うん…」
背中から、玲次の声が直接耳に響いて来る。
毎年、こうやってチャレンジはしてみてる。でも成功したことがないから、またがっかりさせるんじゃないかって不安になる。諦めが悪いのは僕の方かもしれない。まだ、試してみないとわかんないって思ってる。
とりあえず、こっち向いてくれないかな。
そのまま、玲次は動かない。僕も動けない。もちろん、眠れるわけでもない。
「玲次?」
「何だよ。早く寝ろよ」
玲次も全然眠そうな声じゃない。
心臓はドキドキしてる。玲次の背中にくっついている胸から、直接響いていないだろうか。
「ちょっとこっち向いてよ」
少し間があって、玲次はこちらへ寝返りをうってくれる。
「何だ?」
そう言って、僕の前髪を撫でて顔を覗き込む。僕は玲次に顔を向けて、目を閉じる。
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