4

9/11
前へ
/31ページ
次へ
 ただ、あの不快感はどうしても耐えられない。  もしも、僕が知らない間に、僕からそれがなくなってくれてたら。もしそうなら。  玲次の腰に腕を回して、背中にぴったりくっつく。玲次は僕の手に自分の手を添えて、そのままじっとしている。 「…玲次」 「ん? 寝るんだろ?」 「うん…」  背中から、玲次の声が直接耳に響いて来る。  毎年、こうやってチャレンジはしてみてる。でも成功したことがないから、またがっかりさせるんじゃないかって不安になる。諦めが悪いのは僕の方かもしれない。まだ、試してみないとわかんないって思ってる。  とりあえず、こっち向いてくれないかな。  そのまま、玲次は動かない。僕も動けない。もちろん、眠れるわけでもない。 「玲次?」 「何だよ。早く寝ろよ」  玲次も全然眠そうな声じゃない。  心臓はドキドキしてる。玲次の背中にくっついている胸から、直接響いていないだろうか。 「ちょっとこっち向いてよ」  少し間があって、玲次はこちらへ寝返りをうってくれる。 「何だ?」  そう言って、僕の前髪を撫でて顔を覗き込む。僕は玲次に顔を向けて、目を閉じる。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加