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「あー…?」
「起きろよ! 朝!」
こちらへ寝返りを打つと、長い前髪をかきあげながら、僕を睨みつける。
「…うるせーな龍樹」
別に、玲次なんか起こさなくてもいいんだけどね。
月曜の朝はやっぱ起きたくないし、仕事行きたくないじゃん? だから、寝ててもいい玲次を叩き起して憂さ晴らし。
「起ーきろー!」
「寝る」
「寝るなよ! 朝ごはん作ってやるから起きて食べろよ!」
玲次は、気だるそうに僕に手招きをする。僕は腕を組んで、それを少し眺める。
暫しその膠着状態が続く。玲次はもう一回手招きをする。僕は行ってやらない。彼は仕方なしに上半身を起こして、また手招き。
しょうがないので一歩出て、ベッドに片膝を上げて玲次に近付く。
すると、僕の後頭部をその大きな手で軽くつかまれ、ぐいっと引き寄せられて。
軽く、キスをされる。
ほんの数秒のキス。彼は手を離し、ベッドに倒れ込んで布団をかぶる。
「おやすみ」
「って、起きないのかよ!」
「起きねぇ。寝る。とっとと仕事行ってこい」
「とっとと」じゃなくて、せめて「いってらっしゃい」くらい言えないのかな、この男は。
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