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目覚めると、基本的にはないはずの、彼の腕の中っていうシチュエーション。
ただ、一緒に寝るだけなんだけど…僕らにとっては、精一杯の甘いシチュエーション。
今朝だけは、この腕枕があって。僕は何だかんだ言って幸せな気持ちで目覚める。
背中合わせで眠るのも良いけれど、向かい合って抱き締められて眠るのも、やっぱり悪くない。
長年の癖で、明日の朝は背中合わせかもしれないけどね。
まだ眠っている玲次の唇にキスをする。唇を重ねるだけのキスが一番好き。
彼はまだ目覚めない。
今日は、寝かせといてあげよう。僕は仕事に行かなくちゃ。
玲次の腕から抜け出そうとするけれど、彼の腕は僕を抱きしめる。布団を出ようとすればするほど、その力は強くなって、僕を絡めとる。
「玲次、起きてんの?」
小さな声で問いかけるが、玲次の瞼は開かない。すやすやと寝息を立てている。
困ったな。離してくれないと遅刻する。再び起き上がるべく努力をするけど、玲次は決して離してくれない。
ため息をつき、もう一度元の位置に収まる。
どうしようかな。
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