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 僕は自分の枕をつかみ、玲次の頭の上からぐいっと押さえ込む。 「一生寝てろよ、起きて来なくていいよ!」  返事はない。しかばねのようだ。じゃなくて。  いつまでもこんなことやってたら遅刻するので、ベッドルームを出て、朝ご飯の支度をする。まぁ、目玉焼きとトーストくらいなんだけど。  食パンをトースターに放り込んで、洗面所に向かう。顔を洗って、歯を磨く。髪を梳かして、ワックスで軽くセットする。  ダイニングに戻ると、テーブルの前に玲次が座って、メビウスを吸っている。 「何だよ、起きたのかよ」  起こした時に起きりゃいいのに、また変なタイミングで起きて来る。 「寝付けなかった」 「あ、そう」  何でもいいや。トースターから、焼きあがった食パンを取り出す。 「俺のは」 「寝てたから焼いてないよー」 「食う」  二度手間だから、ほんと起きるなら一緒に起きて欲しい。食パンをもう一枚トースターに仕込んで、目玉焼きを焼く。  トースターがチン、となる頃には半熟の目玉焼きも完成。皿に移して自分の分と、向かい側の玲次に出してやる。  トーストにもマーガリンを塗って並べる。 「玲次、牛乳でいいよね?」
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