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「颯くん、明後日また映画に行かない?」
もうひとつ角を折れると学校というところで、夏帆は俺を誘った。
夏帆の場合は特に見たい映画があるわけではない。恋坂でまったりとした時間を過ごすのが好きなのだ。
「いいよ。いま何が上映されてるの?」
「マイ·ガール」
「知らないなぁ」
「お父さんが私達くらいの年の頃の映画だって言ってた」
「古い映画なんだね。まぁ、あそこはそんなのしかないか」
「明後日は何時に部活終わりそう?」
「日曜だから昼までだよ。終わったらその足で行くよ」
「うん!じゃあ未来でお昼を食べて、恋坂に行こうよ」
「いいよ」
約束を交わしながら、俺は暗澹となる。
これが夏帆との最後のデートになるのではないかと。
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