第一話 my girl

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「颯くん、明後日また映画に行かない?」  もうひとつ角を折れると学校というところで、夏帆は俺を誘った。  夏帆の場合は特に見たい映画があるわけではない。恋坂でまったりとした時間を過ごすのが好きなのだ。 「いいよ。いま何が上映されてるの?」 「マイ·ガール」 「知らないなぁ」 「お父さんが私達くらいの年の頃の映画だって言ってた」 「古い映画なんだね。まぁ、あそこはそんなのしかないか」 「明後日は何時に部活終わりそう?」 「日曜だから昼までだよ。終わったらその足で行くよ」 「うん!じゃあ未来でお昼を食べて、恋坂に行こうよ」 「いいよ」  約束を交わしながら、俺は暗澹(あんたん)となる。  これが夏帆との最後のデートになるのではないかと。
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