さよなら、つつがない人生。

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それから一週間が経っても、エドワードは相変わらず原稿を書き、夕食に何食わぬ顔で出てきて、食べると部屋に戻った。 2人で住んでいるのに、心は1人だ。 ゆうきはもう、エドワードが美味しそうに夕食を食べるのを見ても、素直に喜べなくなっていた。 この家にきて二週間ずっとそんなことが続いた時、ゆうきはとうとう、キレた。 きっかけは、本社から届いた一本の電話だった。 『はい、ゆうきです』 『どうだ?エドワードの原稿はできてるか?』 『ああ…すいません。そのことに関しては本人に任せてるんです』 『どうして?編集なんだから急かしたっていいのに』 『もしかして、進捗に問題ありましたか?』 『問題っていうか…まあ、どちらかと言えば「大問題」かな』 『どうしたんです?』 『それがね…あ、今1人?』 『はい』 『よかった。実は4日前から社員の女性と連絡がつかなくなってて。多分その子、先生の家に泊まり込んでんだよ』 『……は?』 『先生から原稿が進んでるって話もないだろ?多分だけど、書かないでずっと…』 『もうやめてください!充分、充分です……』 つまり、二人暮らしではなかったのだ。4日前から…。 ゆうきはおかしくなって、笑いがこみ上げてきた。 『前もおんなじようなことがあったんだ。何回もね。全員辞めていったよ。彼女たちは本気なのさ。でも、先生はそうじゃない』 ゆうきは電話を切った。
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