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ゆうきはもう、あやふやなままこの話を終わらせる気はなかった。
なので、足音がしなくなったあと、自分の部屋から出た。
エドワードがキッチンでコーヒーを淹れていた。時刻はもう11時を回るのに。
「話があります。いいですか?」
「……コーヒー、飲む?」
「いただきます」
今回は自分がしなくても許されるだろうと、ゆうきはテーブルについた。
気晴らしに、リビングの窓のカーテンを開ける。
こもった空気の中で息が詰まりそうだったから。
エドワードが赤いマグカップをゆうきの前に置いた。
その手が少し震えたのをゆうきは見た。
「…怒ってるね」
エドワードはまた前みたいに、椅子の上で三角座りをして、膝の上のマグカップを見ている。きっとどこを見たらいいのかわからないのだ。
「怒ってますよ。でもそれは、あなたが自己破壊的な行動をしたからだ」
「……知ってる」
「いつからこういうことを?
「…………カーターがいなくなってから」
「いくら大切な人がいなくなったとしても、それを性的関係で紛らわせて、あなたは楽になるんですか?それとも、カーターはあなたの恋人?」
「やめてよ。おかしなこと言わないで」
「すいません。でも…うん、深入りしすぎましたね。しかし、こういう行動はやっぱり良くないと思います」
「自覚はあるよ」
エドワードはだんだんイライラしてきたように見える。
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