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「くー4の下、大丈夫かい? そこは今日の目玉なんだからね。おい、おまえ、失敗したら殺すよ」  キツネが恐ろしいことをさらりと言う。  床掃除担当の従業員は一瞬手を止め、元からねずみ色で腐った青い色の顔を更に青くして「失敗しても殺さないで」と懇願してみるが、鼻であしらわれてしまった。  しばらくキツネの返答を待ってみるが、その目はいつも通り見下していて意地悪に口の端が斜めに上がっていた。  真っ赤な舌で口の周りをベロンと舐める。  失敗しようものならキツネは本気で自分を殺しに来るとわかると、一心不乱に床を確認し、完璧に準備を整えた後、更に駄目押しで再確認した。 
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