5人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
話を聞いていた絹子の顔がだんだんと青ざめ、目が血走り額に血管が浮き上がってきた。
通りにいた人々は絹子の身の毛のよだつ顔に恐ろしさを感じ、やれ巻き込まれては大変と足早に反対方向へと走り去っていった。
なんと安珍め。騙したな。
絹子はこめかみあたりの血管がぶちんと音を立てて切れたのを生まれて初めて聞いた。
逃すものか。やっと見つけた男。
帰ってくると言ったから信じたのに。
あたしとの約束を破った。騙した。あたしの気持ちを踏み躙った。
この騙した落とし前、きっちりつけてもらいましょう。
絹子は安珍が走っていったという方へ己も走り出した。
最初のコメントを投稿しよう!