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仏滅に入った夜夜中の二時間だけ、しかも月に一回だけ開くこの座は常に満員御礼であった。
もちろんのこと今日も客席に空席はない。
全ての席が予約で埋まっていた。
この客の選別と管理をしているのが、小田休(おだきゅう)という座長の男。
仕立てのいい黒の紋付に坊主頭、不機嫌そうな顔。たまに女言葉を話し、笑うときは口元をちょいと袖で隠すその仕草に、客は同じタイミングで首を横に傾げる。それを見てほくそ笑む少々癖のある男である。
一席ん十万円という値段にも関わらず、ここへ来たい客は後をたたない。彼に会いたいという奇特な客はもちろんであるが、そのほかにもある。
それは……
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