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互いに『好きだ』と言い合って、特別な関係性だと自覚していた。
言葉にしなくても平気だ、と。
「……っ」
本当は、そう言い聞かせていただけだった。
不安だった。
友達以上恋人未満なのか。
想うが故の、少しの束縛は許されるのか。
互いの想いは、果たして本当に同じなのか。
確認するのも怖かった。
「恋人になる……して」
声が震えた。
嬉しくて。
「うん」
俯く自分をそっと抱きしめてくれる、ひかるの両手。
安堵に、今までの記憶の全てが駆け巡り涙が溢れる。
ずっと燻っていた後悔に向き合って、ひかるの笑顔が取り戻せて良かった。
「ありがとう」
「こちらこそだよ」
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