6.

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束の間、もどかしそうな表情をした崚は「俺、こんなんだよ……」と徐に服をたくし上げ、部活で鍛えられた割れた腹筋を見せてくる。 「そんな遠慮なく見せて……」 ひかるは片腕を立てて上体を起こすと、そう言ってため息を吐いた。 自分がどんな思いで耐えているのか。 手を出さないように努めているのか。 本当に、分かっていないんだね。 「俺のこと誘ってる?」 崚の頭の左右に手を付き、見下ろす。 瞠目した直後に赤面する相手を眺めながら、その真意を理解したひかるは微笑んだ。 「大人しいと……俺、このまま襲うよ」 「……っ!」 普段は「僕」と言うのに、こういう時ばかり「俺」と使い分ける可憐な顔立ちは、一人称を変えただけで一気に艶めいて。 唐突な変貌に魅了され圧倒された崚は、指先一つ動かせなくなる。 相手のそんな言葉選びや、無理のない強引さに弱いのだと思い知らされる。 不意に見せる、積極的な一面に溺れてしまっているのだと。 それもさっき、本人にバレてしまった。 彼の嬉しそうな微笑は、きっとそう。 ふと伸びてきた指が自分の腹部を這う。 そっと撫でた後、感触を楽しむかのように手の甲でも触れて。 「擽ったい……」 「……これも?」 脇腹に近づく、ひかるの顔。 吸い付くようなキスはさっきと変わらず擽ったかったのに、小さな唇から現れた赤い舌に素肌を舐め上げられて。 軽く喰まれて。 甘い戦慄と、滲む熱。 「……っ、ひかる……」 「嫌だった?」 「……違う、けど……っ」
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