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話したのは中学の時の一度きりだったけれど、あんなふうに誰にでも分け隔てなく接することができるんだ。 周りがよく彼の名前を呼んでいたのも、人が集まるのも納得できた。 だから。 「ごめんね……」 眉間に深く皺を刻み怒りに震える崚に謝る。 こんなものなど、見せたくなかった。 心配させてしまう。 気を遣わせてしまう。 「……これは、気にしなくていいから」 崚の、サッカーへの情熱を知っている。 1年生でレギュラーとして活躍する彼はきっと、プロになる夢を叶える。 それを心から応援しているし、そんな彼の貴重な時間を奪うつもりも無い。 「全部話せ」 自分の足元を眺めていたひかるは、顔を上げる。 普段、笑顔の絶えない崚の真剣な双眸に、ほんの少し怖さを覚えた。 中庭に行こうとしていたひかるを、半ば強引に自宅へ連れ帰ってきた崚。 夕食の準備をしてくれている母に帰宅の挨拶をして、2階の自室にひかるを招き入れた。 「脱いで」 ドアを閉めた直後、単刀直入に告げる。 相手は一瞬驚いた表情をしたものの、意図を理解したようで。 「……でも」 目を逸らして俯きながらも、小さな声で拒絶した。 「ひかる」 「……っ」 嫌がっても、はぐらかしても、もう逃げ場はない。 この部屋のドアは自分が阻むようにして立っているから開けられないし、出られない。 ややあって後、ひかるは大人しく従ってくれた。 躊躇うようなゆっくりとした動作で制服のシャツを脱ぎ、スラックスを床へと落とす。 胸、腹、腕、脚。
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