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全体的に華奢で色白なその肢体の至る所に、暴行を受けた痕が生々しく刻まれていた。 どうして。 何故。 そんな言葉ばかりが、崚の頭の中を占領する。 こんな仕打ちを受けなければならない程、彼は悪いことをしたのだろうか。 そう感じてしまうくらいの酷い有様で、まるで拷問を受けた罪人のようだった。 「……これらの傷全部、写真に残していい?」 崚は、自分のスマホを取り出しながら尋ねた。 加害者が言い逃れできないように、証拠を残す。 本人のスマホで撮影しないのは、加害者にそれを奪われた場合にデータを消される可能性があるから。 「……うん」 頷いたひかるは、どことなく悲しげだった。 ♢ スマホに保存した、痣だらけの身体が映る写真を眺め思う。 傷つく必要が無いのに、彼は何故それを受け入れているのか。 何故、引き止める自分の手を拒絶するのか。 脅されている? それとも、まさか自分から? 「まさかな。有り得ない……」 先日、ひかるの衝撃的な日常を垣間見た崚。 それ以来、頭の中はサッカーよりも彼について考えることが多くなっていた。 授業中、休み時間、部活の練習試合中も、不意にひかるの儚い笑みが蘇ってはその身体の傷を思い出して胸が締め付けられる。 いくら思いを巡らせたって終わりが無いのは分かっているのに、飽きもせずに何度も何度も。 この間だって、そうだった。 『もう行くなよ……』 またも前回同様に部活前に見かけ、ひかるを呼び止めてはそう訴えたのに。 『……呼ばれてるから』 振り返った相手は、平気そうに笑って。 否、目を細めて笑うふりをして。 『そんなの関係ないだろ?担任とか、学年主任に相談した方が』
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