28人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
温かい緑茶をそっと口に含んでは、床に置いたクッションに腰を下ろし、背もたれ代わりにベッドへと寄りかかる。
無防備に寝ている、好きな人。
想い合っている。
当然、キスもする。
でもまだ、体は重ねていない。
それを互いに言及しないのは、遠慮か優しさか。
自分は、相手を怖がらせたり、無理をさせたくないから。
それ以上に、嫌われたくない。
だから、いつもキスをして、その先が欲しくなっても抱きしめるだけで止めていた。
もっと触りたい。
滅茶苦茶にしたい。
我慢できずに恐る恐る髪を撫でてみれば、余計に堪らなくなって。
「……っ」
身に纏う服を暴いて、素肌にキスしたい。
心の中の獣が暴れる。
まるで別人格でもいるかのようだ。
駄目だな。
「……ん、ひかる……?」
手をついたことでベッドが軋み、薄く目を開けた相手に名前を呼ばれた。
「僕も寝ていい?」
場所を空けてくれた崚にお礼を言って、横になる。
シングルベッドに男子高校生が二人。
流石に広くはない。
何気なく相手の腰に腕を回し、ひかるは抱きつくように擦り寄った。
スマホのアラームは 1時間後に設定したし、本当に寝てしまっても問題は無い。
「……ぁふ」
小さく欠伸をした手前、相手が息を詰めた気がして。
見れば、ほんのりと頬が赤く染まっていた。
間も無く瞼が持ち上がると、こっちを見て。
どうしたの?と聞く前に。
「ひかるはさ……俺のこと抱きたいって……まだ」
「ずっと思ってるよ?」
でも怖がらせたり、嫌なことはしたくない、と続けた。
最初のコメントを投稿しよう!