6.

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温かい緑茶をそっと口に含んでは、床に置いたクッションに腰を下ろし、背もたれ代わりにベッドへと寄りかかる。 無防備に寝ている、好きな人。 想い合っている。 当然、キスもする。 でもまだ、体は重ねていない。 それを互いに言及しないのは、遠慮か優しさか。 自分は、相手を怖がらせたり、無理をさせたくないから。 それ以上に、嫌われたくない。 だから、いつもキスをして、その先が欲しくなっても抱きしめるだけで止めていた。 もっと触りたい。 滅茶苦茶にしたい。 我慢できずに恐る恐る髪を撫でてみれば、余計に堪らなくなって。 「……っ」 身に纏う服を暴いて、素肌にキスしたい。 心の中の獣が暴れる。 まるで別人格でもいるかのようだ。 駄目だな。 「……ん、ひかる……?」 手をついたことでベッドが軋み、薄く目を開けた相手に名前を呼ばれた。 「僕も寝ていい?」 場所を空けてくれた崚にお礼を言って、横になる。 シングルベッドに男子高校生が二人。 流石に広くはない。 何気なく相手の腰に腕を回し、ひかるは抱きつくように擦り寄った。 スマホのアラームは 1時間後に設定したし、本当に寝てしまっても問題は無い。 「……ぁふ」 小さく欠伸をした手前、相手が息を詰めた気がして。 見れば、ほんのりと頬が赤く染まっていた。 間も無く瞼が持ち上がると、こっちを見て。 どうしたの?と聞く前に。 「ひかるはさ……俺のこと抱きたいって……まだ」 「ずっと思ってるよ?」 でも怖がらせたり、嫌なことはしたくない、と続けた。
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