6.

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少しずつ下っていく、ひかるのキス。 脇腹から腰骨に移動して、その両手はベルトのバックルに触れている。 互いに何も言わなくても、絡む視線だけで伝わった。 ひかるの唇が下着越しに触れる。 優しく食んでは、もう一度自分を見上げてきて笑う。 「直接触っていい?」 「え!……いい、けど」 抵抗も躊躇いもないひかるの言動に、驚きを隠せない。 許可を得た相手の掌は崚の昂りを下着から出し、緩々と扱き始める。 文化祭の放課後では夕暮れ時の薄暗い部室内だったから、どう触っているかはよく見えなかった。 でも今は、ひかるの明るい自室。 どこもかしこも丸見えだ。 恥ずかしすぎる。 「は、ぁ……っ」 快感に息を吐くものの羞恥に駆られ両手で顔を覆うと、「駄目だよ」とひかるの右手で自分の両手が拘束されて阻まれる。 開けた視界の先では、動揺する気持ちとは裏腹に愚息が素直に頭をもたげていて。 「俺が触ってるところ、ちゃんと見て」 小さな唇の柔らかい感触の後、その口腔に呑まれていく。 「ぁ……っ、く……っ!」 纏わり、吸いつく舌の感触と温かさ。 初めての体験に、気を緩めたらすぐに果ててしまいそうだ。 自ずと足先には力が入り、感じる度に反射して震える。 「!」 何度も達しそうになるのをどうにか耐えていた時、ひかるはそこから口を離し、この両手を掴んでいた右手も同様にした。 何をするのかと見つめれば、ベッドの下から小さなビニール袋を引っ張り上げては自分の足元へと移動して落ち着く。
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